インデックス投資を行う時に、全世界株に振るか、全米株に振るかというのは、いろんな議論のある点だと思います。
個人的には、どうするか決めかねているなら、全世界株と全米株を対象にしたETFや投資信託を半々保有すればいいのでは?と考えています。
ただ、これははっきりした理由や根拠に基づくものではなく、感覚的なものです。そこで、実際に全世界株と全米株を対象にしたETFを50対50で保有した時に、どのようなポートフォリオになるのかを検証してみました。
検証内容・方法
全世界株はVT(Vanguard Total World Stock ETF)、全米株はVOO(Vanguard S&P 500 ETF)を対象にしました。これらを50対50の比率で保有した時に、どのようなポートフォリオになるのかを検証しました。検証項目は「構成国」「構成銘柄」「リターン」です。
なお、本検証で用いたデータは、Vanguard社の各ETFの紹介ページから引用したものです。
VT :https://investor.vanguard.com/etf/profile/overview/vt
VOO:https://investor.vanguard.com/etf/profile/overview/voo
検証結果
構成国
VTとVOOを構成する国の上位15カ国は以下のとおりです。データは2021年5月31日時点のものです。
VTでは43カ国が対象になっています。
ただ、世界分散と言いながら6割近くを米国が占めています。米国、日本、中国、英国、カナダの5カ国で4分の3を占めます。それに、フランス、ドイツ、スイス、オーストラリア、台湾、韓国、インド、オランダを加えた13カ国で9割を占めます。
他方のVOOは、もちろん米国100%です。
VTとVOOを半分ずつとした場合の構成国は以下のようになります。
VTのものから、単純に米国の割合が増え、その他の国の割合が減少しています。
米国だけで8割近くを占め、米国に日本、中国、英国、カナダ、フランス、ドイツを加えた7カ国で9割を占めます。
VTと比較して米国の割合が20%増え、米国+その他という構図が強くなったのはもちろんですが、VTの時点で米国の占める割合が多かったので、受ける印象はあまり変わらないかもしれません。
構成銘柄
続いて、構成銘柄の違いを見てみましょう。
まず、VTとVOOの組み入れ上位30社を整理しました。こちらも、データは2021年5月31日時点のものです。VTで色が付いているのは米国以外の国の企業です。
どちらも上位の銘柄は同じでGAFAMが占めています。ただ、ETF全体に占める割合は当然VOOの方が大きいですね。GAFAMの組み入れ率で見ると、VTは9.86%、VOOは20.71%と倍以上の差が出ています。また、VTでも上位30社のうち、米国以外の国の企業が6社のみと、やはり米国の強さが分かる結果になりました。
続いて、VTとVOOを半分ずつとした場合の構成銘柄は以下のようになります。
多少順位の違いはあれど、構成銘柄の上位30社はVOOと同じになりました。VTでは、上位30社に米国以外の国の企業も入っていましたが、VTとVOOを半分ずつとした場合は、どの企業も30位内からは外れてしまいました。GAFAMの占める割合は15.29%となっています。
リターン
Vanguard社のウェブサイトによると、VTとVOOの2021年6月30日時点でのリターンは以下のとおりです。基準価額(NAV)ベースにしています。
直近1年 | 直近3年 | 直近5年 | 直近10年 | 設定来 | |
VT | 40.57% | 14.66% | 14.79% | 10.18% | 8.10% (2008/6/24~) |
VOO | 40.70% | 18.62% | 17.60% | 14.80% | 15.80% (2010/9/7~) |
上表の期間だと、どこを取ってもVOOがVTよりも高いリターンを出しています。ただ、VTも設定来で8.1%ということなので、個人的には、インデックス投資で求めるリターンとしては十分だと思います。直近1年については両者でそれほど差がなかったんですね。
VTとVOOを半分ずつ持っていた場合は、両銘柄の間のリターンになると思われます。
計算結果を下表に整理します。
直近1年 | 直近3年 | 直近5年 | 直近10年 |
40.64% | 16.64% | 16.20% | 12.49% |
数値だけだとイメージしづらいと思いますが、VTとVOOの間ですね。上でインデックス投資であればVTのリターンでも十分と書いたので、こちらも、もちろん文句のないリターンだと思います。
最後に
いかがだったでしょうか?
表と数字ばかりになってしまったので、分かりづらくなってしまったかもしれません。
個人的には「米国一極で賭けられる!」という方であれば、米国株を対象にしたETFなどに全振りするので構わないと思いますが、少しでも「ほかの国も含めなくていいのかな?」と思うのであれば、全世界株と全米株を半々保有するという選択肢も全然ありだと考えています。
ただ、その場合でも、米国への投資比率は高くなってしまうことは認識しておくべきだと思います。
投資対象やポートフォリオを検討する上で、少しでも参考になるものがあると嬉しいです。
ブログランキングに参加しています。よろしければ応援お願いします。
にほんブログ村
コメント