この記事は以下のような方におすすめです。
・結局のところ、全米株に投資した場合はいくらプラスになるの? など
以前、全世界株を対象に中長期リターン・リスクの検証を行いました。
投資先として、全世界株の比較として全米株が取り上げられることが多いので、全米株の中長期リターン・リスクがどうなのか気になる方もいらっしゃるかと思います。この記事で検証していきます。
全米株を対象にした投資商品のリターンはどのくらい?
全米株を対象にした投資商品にはどんなものがあるでしょうか?
ETFだとステートストリート社のSPY、バンガード社のVTIやVOOなどが有名だと思います。
投資信託だと楽天VTI、eMAXIS Slim米国株式、SBI S&P500、SBI VTIあたりの名前が挙がるでしょうか。
これらの商品の設定日は以下のとおりです。
銘柄名 | 設定日 |
SPDR® S&P 500® ETF (SPY) | 1993年1月22日 |
Vanguard Total Stock Market ETF (VTI) | 2001年5月24日 |
Vanguard S&P 500 ETF (VOO) | 2010年9月7日 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI) | 2017年9月29日 |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)(eMAXIS Slim S&P500) | 2018年7月3日 |
SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(SBI S&P500) | 2019年9月26日 |
SBI-SBI・V・全米株式インデックス・ファンド(SBI VTI) | 2021年6月29日 |
上3つがETF、下4つが投資信託となります。
特に投資信託は、いずれも設定されてからの年数が浅いですね。最も設定日が古いものでも楽天VTIの2017年9月です。
全体で見ると、1993年1月に設定されたSPYの設定来の期間が18年以上と一番長いです。
SPYの設定来の年平均リターンはおよそ10%程度とのことです。
全世界株の時に検証したVTの13年よりは長い期間ですが、もっと長い期間の傾向を知りたいという方もいると思います。
全米株を対象にした指標にはどんなものがあるの?
以前の記事でも書いたことですが、あるテーマを持った投資商品は、そのテーマに沿った運用を行うためインデックス(指数)を参照することがあります。指数に連動するように運用することで、投資商品が目指すテーマに沿った運用成績を残せるようにするわけです。
全米株に連動させることを目的とした投資商品の場合、
ETFだと、SPYやVOOはS&P500 Index、VTIはCRSP US Total Market Indexという指数と連動するように設定されています。
上で挙げた投資信託も、直接的か間接的かの違いがあるだけで、基本的には同じ指数を参照しています。
なお、S&P500 Indexは、米国の500社を対象とした指数なので、厳密には全米株の指数とは言えないのかもしれません。ただ、VOOとVTIの推移がほぼ同じであることもあり、便宜上、この記事では全米株の指数とさせていただきます。
全米株式指数を使ったリターン・リスク検証
方法
今回はS&P500 Indexの過去の数値から、年平均リターンとリスクを計算しました。
CRSP US Total Market Indexも調べてみましたが、この指数は設定日が2011年なんですね。
この指数を参照しているVTIの設定日は2001年なのですが、VTIは2011年より前はほかの指数を参照していたんでしょうかね…?
いずれにせよ、期間がそれほど長くなかったので、今回は対象外にしました。
S&P500 Indexについては、こちらのサイトに1928年からのデータがあったので、1928年から2020年までのデータを使わせていただきました。93年分のデータってすごいですね。
結果
結果は以下の表のとおりです。前回の全世界株との比較も行ってみたかったので、1988年から2020年までの33年分でも計算してみました。
対象期間 | 幾何平均 | 標準偏差 |
1928年~2020年(93年) | 5.93% | 19.06% |
1988年~2020年(33年) | 8.60% | 16.86% |
(参考)全世界株式 1988年~2020年(33年) | 8.28% | 17.36% |
1928年から2020年までの過去93年を対象にした場合の年平均リターンは5.93%(幾何平均)、リスクは19.06%という結果でした。
また、全世界株との比較用に計算した1988年から2020年までの33年の場合は、 年平均リターン8.60%(幾何平均)、リスク16.86%となりました。
93年間だと世界恐慌の時期も含まれているからか、どうしても数値は悪くなってしまうようですね。
33年間の方は、リターン・リスクとも全米株の方がよい数値ですが、全世界株とほとんど変わらないと言える気がします。
折角なので、今回も投資信託ガイド|ファンドの海様の長期投資予想/アセットアロケーション分析を利用させていただき、30年間積立した場合の運用結果を予想してみました。
今回もつみたてNISAの利用を想定し、積立額は毎月33,333円として、各期間ごとに計算したリターンとリスクを入力値としています。
シミュレーション結果は以下にまとめています。積立期間は30年、積立総額は1,200万円となります。
入力値の根拠期間 | 期待リターン | 最頻値 | 最頻値の場合の 年平均リターン | 元本割れ確率 |
1928年~2020年(93年) | 3,208万円 | 1,533万円 | 0.8% | 14.7% |
1988年~2020年(33年) | 5,258万円 | 2,856万円 | 2.9% | 2.3% |
93年間のリターン・リスクに基づくシミュレーション結果は、最頻値の年平均リターンが1%を切る上、元本割れ確率も15%程度となっています。数値だけ見ると、投資先としてあまり旨みがない気がしてしまいますが…。
33年間のリターン・リスクに基づくシミュレーション結果は、全世界株よりもよいですが、ほぼ同じような結果になったのかなと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
S&P500 Indexの93年間を対象としたリターン・リスク、それらを踏まえた運用シミュレーション結果は、個人的には思っていたよりも悪かったです。
ただ、この結果はあくまで過去の結果に基づくデータ、それを使ったシミュレーション結果ですので、受け止め方は各々にお任せします。
私個人としては、少なくともしばらくの間は有望な投資先の一つとして全米株を考えています。
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