技術士(Professional Engineer)という資格の紹介

技術士

私は「技術士」という資格を持っています。

名前を聞いてピンとくる方っていますか?
この技術士という資格、世間的にはとても知名度が低いものだと思います。

少しでも多くの方に我々の存在を知ってもらうべく(笑)、筆を執ってみました。
まずは、ごく基本的な部分について整理をしてみました。

技術士って何?

技術士は技術士法により定められた国家資格です。文部科学省が所管しています。

技術士法では、以下のように定義されています。

第二条 この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。

昭和五十八年法律第二十五号 技術士法 (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=358AC0000000025)・2021年6月11日アクセス

分かりづらいですよね…。

公益社団法人日本技術士会のウェブサイトでは、以下のような説明があります。

こちらの方が分かりやすいと思います。

「科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者」

公益社団法人日本技術士会 (https://www.engineer.or.jp/contents/about_engineers.html)・2021年6月11日アクセス

分解すると、以下の内容に当てはまる人のことだと思われます。
(かえって分かりづらくなっているかも…)

  • 技術に関する専門知識を持っている
  • 専門知識を応用して課題を解決する能力を持っている
  • 課題解決能力を実務で発揮した実績がある
  • 能力や実績があるだけでなく倫理観も兼ね備えている

ちなみに英語では、プロフェッショナル・エンジニア(Professional Engineer)と言います。プロフェッショナルなエンジニア、この表現の方がピンとくる方も多いかもしれません。

何の技術の専門家なの?

上の説明で「技術に関する専門知識を持っている」と書きましたが、技術士の資格は技術分野ごとに与えられます。分野は以下の21の部門に分かれています。各部門の技術士試験に合格して登録すると、その部門の技術士を名乗れるようになります。

機械部門船舶・海洋部門航空・宇宙部門電気電子部門
化学部門繊維部門金属部門資源工学部門
建設部門上下水道部門衛生工学部門農業部門
森林部門水産部門経営工学部門情報工学部門
応用理学部門生物工学部門環境部門原子力・放射線部門
総合技術監理部門

書き出してみると結構な数ですね…。

ちなみに、技術士が技術士として仕事を行う場合は自分の専門分野を明示する必要があります(「有能性の重視」と言うそうです)。例えば、私は環境部門の技術士なので、名刺には「技術士(環境部門)」のように明示しています。また、技術士は名称独占資格なので、技術士の資格を持たない人が勝手に名乗ると処罰の対象になります。

技術士になったら何ができるの?

これ、少し厳しい質問です。

上で少し触れたように、技術士は名称独占資格なので、技術士じゃないとできない仕事って実はなかったりします。

ほかの有名な士業(弁護士や公認会計士など、●●士という名前の資格)と異なるのは、それらが業務独占資格だと言う点が1つあるのかなと思います。

業務独占資格と名称独占資格の違いについては以下を参照してください。

業務独占資格:弁護士、公認会計士、司法書士のように、有資格者以外が携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格。
名称独占資格:栄養士、保育士など、有資格者以外はその名称を名乗ることを認められていない資格。

文部科学省ウェブサイト(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/014/shiryo/07012608/003.htm)より引用・2021年6月11日アクセス

一方で、技術士であるということは国から一定程度の能力を評価されているということなので、単純に顧客の信頼は得やすくなります(相手の方がそもそも技術士という資格を知らないことも、ままありますが)。技術士であることが評価されて仕事に繋がりやすくなることもあります。また、土木など一部の分野では、技術士が事実上の業務独占資格となっているケースもあるようです。

どうやったら技術士になれるの?

日本技術士会が公開している以下の図に沿って説明します。

公益社団法人日本技術士会ウェブサイト(https://www.engineer.or.jp/contents/become_engineer.html)より引用・2021年6月11日アクセス

まずは、修習技術者になる必要があります。修習技術者になるには、一次試験に合格するか、指定された教育課程を修了する必要があります。理系の方であれば、意外と自分の卒業した大学・各部が該当しているケースがあると思います。
修習技術者になった後、一定の業務経験を積み二次試験に合格すれば、晴れて技術士に登録する資格を得ることができます。

一定の業務経験というのは、以下の3パターンに分類されます。

  1. (技術士補登録後)指導技術士の下での4年を超える実務経験
  2. 職務上の監督者の下での4年を超える実務経験(修習技術者となった後の経験)
    ※監督者:科学技術に関する業務に7年を超える期間従事している者
  3. 7年を超える実務経験(修習技術者となる前の経験も参入できる)

日本技術士会によると、令和2年(2020年)度試験の合格率(対受験者合格率)は以下とのことです。

一次試験:43.7%
二次試験:11.9%

一次試験には受験資格はありません。誰でも受験できます。最年少合格者は9歳だとか。

二次試験は、最短で4年の実務経験が必要です。
大卒の方であれば、26歳くらいでの資格取得が最短になるのかと思います。

最後に

今回の記事では技術士のごく基本的な部分について書いてみました。
様子を見ながら、内容を深掘りをしたり、広げてみたりしてみたいと思います。

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